今月、日本時間(令和2年)1月15日早朝にWindows7の最終パッチが配布されるのを最後にWindows7向けのセキュリティ更新プログラム配布は廃止されました。
私も昨年あたりから、このWindows7サポート切れ問題の対処方法をいろいろ考えてきました。期限切れのマシンにubuntuという種類のlinuxOSをインストールしてして使用する方法や、セキュリティソフトだけを更新して使い続ける方法,法人サポートを利用して有償でサポートを延長する方法等を本コラムでも第26回目でご紹介してきました。
【第26回】 あと9か月余りでサポート終了のWindows7パソコンを捨てないで活用する
ところが最近Windows7代替OSを調べるうちにChromebook(クロームブック)というgoogle社のOSを搭載しているノートパソコンに興味が向き、試しに買ってみてそのあまりの使い勝手の良さに惚れ込んでしまったので、今回はこのChromebookについていろんな面から私なりに批評していきたいと思います。
【1】まず驚いたこと
・起動が早い
だいたい10秒以内に使えるようになります。WindowsマシンではSSD搭載マシンでも30秒はかかります。
・初期インストール等はほとんど必要ない
買ったばかりのChromebookでも、無線LANのパスワードとgoogleアカウントの入力とごくわずかの選択を入力すれば、ものの5分で使用可能になります。
・端末(殆どがノートPCやタブレット型)の価格が安い(3万〜6万円程度)
私が買ったのは、中古の(ASUS C100PA) と新品で米国amazon.comから買った(ASUS C223NA)というノートでしたがどちらも日本円で約2万円程度でした。
【2】 |
少し使ってみて感じたこと(Windowsマシンと比較して) |
(よいと思った点)
・google検索やyoutubeを見るだけならば充分サクサク動く。
・メールもgmailだけの使用であるなら、これで充分。
・Word関連文章は'ドキュメント'、EXCEL関連は'スプレッドシート',パワーポイント関連は'スライド'というソフトが使え、その他スケジュール管理は'カレンダー'で行えます。
・ウイルスチェッカーソフトが不要。
・Windows updateのようなOSの更新で待たされることがない。
・googleアカウントさえ知っていれば、WindowsマシンのChrome上でもChromebookマシンでもほぼ同じ環境が実現する。
(これは不便?と思った点)
・文章やスプレッドシートは基本的にgoogleドライブに保存され、Chromebook本体側(ローカル側)には保存されない。
(注)Chromebook本体側(ローカル側)やUSBドライブに保存するには、googleドライブからダウンロードする必要がある。
・普段ソフト作成で使用しているエディタ(秀丸エディタ、サクラエディタ)等が使えない。
(注)あとからPlay storeからandroid用のエディタをインストールした
・普段ネットワーク業務で使用しているターミナルソフト(Teraterm等)が使えない。
(注)あとからPlay storeからandroid用のターミナルソフトをインストールした。
・いつもよく使用しているGISソフト'QGIS'が使用できない。
・Gmailは問題ないが、通常のメールサーバのPOP3やImapメールが読み込めない。
(注)あとからGmailに外部メールサーバー送受信機能があることを知り、無事読み込めた。
・googleドライブの容量はデフォルトで15GB程度なので、すぐに満杯になる。
(注)新品のChromebookを買ったら100GBのgoogleドライブがおまけでついてきたので、それを使っている(有料の場合は100GBで250円/月)。
・使用できるプリンターがGoogle クラウドプリント対応のプリンターだけ。
・米国のamazon.comで購入したが、同じ機種を日本のamazon.co.jpで購入するより、3分の2程度の価格で購入できた。つまり米国では安い。
Asus C223NA-DH02-RD Chromebook(米国amazon.com)
ASUS C223NA-DH02-RD(日本amazon.co.jp)
・Chromebookは教育機関向けの市場で強く北米シェアは既に60%以上、しかし日本では5%未満。
・教育機関や企業向けに'Chrome Enterpriseライセンス'という、学校や企業内の複数のChromeOS端末を、管理権限を有する管理者がユーザーグループ別に異なる設定でリモートで一括管理できるしくみがあります。そのライセンス料は
(Chrome Enterpriseライセンス)
企業向け(Chrome Enterprise License) | 教育機関向け(Chrome for Education) |
永久:¥21,000円/台 | 永久:¥4,200円/台 |
年間:¥7,000円/台 |
|
となっています。(サテライトオフィスHPより)
・上記'Chrome Enterpriseライセンス'は日本では最近になってやっと認知され始め、WindowsPCのネットワークでは到底実現不可能なセキュアな業務端末の集中管理を実現可能にする為、Windows7のサポート切れをきっかけとしてこの'Chrome Enterprise'集中管理に移行する企業も出現してきました。
「
Windows 7の9割はChromebookへ移行する」、東急ハンズ(日経XTEC HPより)
・ChromebookはWindowsPCとは似て異なるものであり、アカウントごとに変身できるWeb端末である。
50代以上のコンピュータエンジニアならご存知だと思うが、30年程前までのバブル崩壊期までよく使用されていた汎用機やオフィスコンピュータには'バカタン'と呼ばれたノンインテリジェント端末が使用されていた。
そういう意味では、Chromebookは現代の'バカタン'='Web端末'だと私は勝手に思っている。
・単なる'Web端末'であるから値段は安い。
・単なる'Web端末'であるから、データは基本的に持たない。
・単なる'Web端末'であるから、ウイルスやマルウェアに感染しにくい。(バカは風邪ひかない。)
・単なる'Web端末'であるから、集中管理しやすく、情報漏えいをガードできる。
・単なる'Web端末'であるから、CPU能力を多く使うアプリは単体では苦手である。
・単なる'Web端末'であるから、特殊なソフトウェアは走らない。
・単なる'Web端末'であり、データを持たないので、災害時の業務復帰は容易である。
・単なる'Web端末'であり、データを持たないので、端末が盗まれてもデータや個人情報の流出は防止できる。
あくまで私なりの感想なので、導入するかどうかは、上記のようなメリット・デメリットを考慮の上で御検討願います。