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右城猛の落石対策設計演習

 >右城猛の落石対策設計演習 >5.落石防護擁壁 |演習5.1解答

2010-11-25

5.落石防護擁壁

 【演習5.1】 高さ3m,奥行き1mのコンクリート擁壁に重さ1tの鉄塊を v1 =4m/sの速度で図5.1に示すように衝突させた。
 反発係数は e =0.2(はね返り速度 v2 =0.8m/s),鉄塊が擁壁に接触した時間は Δt =0.005秒,衝撃波形は三角形,コンクリートの単位体積重量は24.5kN/m3,擁壁底面の摩擦係数はμ=0.7とする。
(1) 衝突時の衝撃力はいくらか。
(2) 擁壁の安定性について検討せよ。

落石防護擁壁

図5.1 落石防護擁壁

■ 解答

(1)衝撃力

衝撃運動方程式は次式で表される。

式

ここで,

式

とおくと,式(5.1)は式(5.3)となる。

式

衝撃波形を三角形とすると,最大衝撃力 P は次式で表される。

式

したがって,最大衝撃力は次のように求められる。

式
衝撃力−力積−運動量の関係

図5.3は北海道開発局が行った鉄塊の重錘を用いた衝突実験の結果である。計算結果は,この実験と概ね一致している。

北海道開発局の重錘衝突実験

(2)擁壁の安定性の照査

擁壁の安定性は,剛体力学に基づいた右城の提案式を用いて照査する。


a)擁壁の諸元

座標法で計算する。

式

断面積

式

断面1次モーメント

式

断面2次モーメント

式

擁壁の質量

式

図心の座標値

式

擁壁の図心に関する慣性モーメント

式

擁壁の図心から回転中心(つま先)までの距離

式

擁壁のつま先に関する慣性モーメント

式

b)転倒に対する検討

擁壁の角速度

式

擁壁の回転による重心の上昇量

式

擁壁の回転角

式

転倒の限界回転角

式

擁壁は鉄塊の衝突で1.54度回転するが,転倒の限界回転角以下であるので転倒しない。ロッキング運動するだけである。


c)滑動に対する検討

式

擁壁は鉄塊の衝突で0.02m滑動するが,0.1m以下であるので問題ない。

ちなみに,衝撃力を静的荷重と見なして計算すると

式

となる。北海道開発局が行った実験を図5.4に示しているが,擁壁は転倒していない。静的荷重と見なした計算では,安全性を適切に評価することができない。

落石防護擁壁の計算結果

>>予備知識

 

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