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いさぼうコラム
田舎の技術屋爺

令和8年3月19日

第7話 「雪堀の話」

 冬支度が終わるともう雪堀です。いつ雪が降りどのくらい積もるのか問題ですが降る時期も積もる量も毎年違います。お天道様次第なので冬支度の準備は予定通りいかないことが多い。
 周辺の県道、市道は依頼された建設会社が降雪時には暗いうちから除雪してほとんど無雪道路ですが、県道から私の家までの約160mの坂道は自分で除雪しなければなりません。

県道から約160mの坂道の始まり
県道から約160mの坂道の始まり
除雪後の県道の雪の壁
除雪後の県道の雪の壁

 移住した年は「かんじき」を履き、雪の上を県道まで道付けをして、軽い荷物はリュックで運び、重たい灯油やLPGのガスボンベなどは小屋にあった子供用のそりに乗せ運びました。雪の上で小さいソリは時々ひっくり返るし、雪の坂道を登ると足がもぐり、息切れがして上に達するころはフラフラです。
 近所の人が除雪機で車が上がれるように坂道を数回除雪してくれました。そのときに重いものを運ぶことにしましたが、除雪するのを見て文明の利器である除雪機を買わなければと決心しました。

 近所の皆さん「大きい除雪機が良い」と言うのですが、高いので、まあまあの大きさの除雪機を移住2年目の11月に購入して、雪が積もるのを待ち使い始めました。スコップでの雪堀とは比べ物にならないくらい楽です。周りに障害物もなく、広い場所がある我が家は雪をどこに飛ばしても良いので除雪機の力に感動しました。でも、除雪機を使い始めると色々な問題にぶつかります。
 舗装道路のような平坦なところでは除雪機は安定走行で除雪ができますが、雪の硬軟がある所や地面に凸凹があるところはもぐり、スタックしたり、石や障害物がある箇所では硬いものに当たり回転部のボルトが飛んだりします。
 新雪のところや水気のあるやわらかな個所は除雪機が傾き、潜り、前にも後ろにも動かなくなります。機械の周りの雪を掘り、キャタビラの下にゴムシートを敷いて取り出しますが慣れるまで除雪している時間よりも機械を元に戻すのに時間がかかりました。
 雪を5〜10m以上も飛ばしてくれる除雪機は雪の飛ばし方にも工夫がいります。坂道の160m区間に人家が無く、杉林と畑・田んぼなので自由に雪を飛ばせますが除雪量が多くなるにつれ、除雪する道の両側に雪の壁(写真)ができ、雪を斜め上に飛ばせなくなります。
 除雪した道は壁に囲まれたへこみになるため、風に飛ばされ雪がこの凹部に集まり平地より雪が多くなります。また、少し暖かい日があると道の両側の壁がクリープして道に押し出してきます。この壁を雪庇(せっぴ)と呼び、時々崩れますので、歩く時に注意が必要です。県道などは雪の降る峠が過ぎるとこの高い壁を削って搬出しています。

かんじきで歩く
かんじきで歩く
除雪した道は2〜3mの壁に囲まれます
除雪した道は2〜3mの壁に囲まれます

 雪が多く20cm以上あるときはかんじきを履き、カッパとズボンを着用して完全武装で外に出ないと足がもぐり長靴には雪がはいります。
 雪が多いときは足が膝まで埋まって動けなくなりこともあります。脱出するのに雪と格闘することになりますが、かんじきを履き深くもぐると簡単に脱出できなくなりかなり危険です。
 沢のところや凹地形などのところは要注意で雪にできた自然地形(地表の形状を表しています)を見て歩くことが肝要です。今年の大雪は朝起きると30〜50cmも積もっていたのでいつも完全装備で外に出ました。かんじきは紐で長靴に縛り付けるのですが、体が硬くなり、腹が出てくると立ってかんじきを履くのは一苦労です。
 雪の上を歩くだけなら良いですが、履いて仕事をすると足で足を踏んだりして動きづらく、雪のない舗装道路を歩くと底の紐が擦り切れてしまいます。無雪道路ではかんじきを脱ぎ、雪のところでまた履くこれが面倒です。

 車は冬、県道沿いの車庫を借りそこに置いていますが、坂道の160mの区間は車を通さなくても通れる幅に除雪する必要があります。車の幅で除雪しておかないと、いざ車を通す時に2m以上の雪の壁を車の幅に拡幅するのは難しいのです。
 今年は大雪が続き、朝から晩まで雪堀をやっていたような気がしますが、体中が痛くなりますが、昨年から始めた筋トレのお陰で何とか乗り切ったようです。雪堀は体力勝負です。
 大雪もそろそろ終わりかなというとき、近所の大きなビニールハウスが雪で潰れたのを見て放置していた果樹棚や作業小屋に1m以上積もった雪を急いで半分くらい掘りました。
 新雪の密度は50kg/m³で、圧縮され固まると10倍の500kg/m³となるそうで、屋根の一坪(3.3m²)に積もった1.0mの雪は1トン近くになるそうです。

 昨年は風呂の屋根の位置が良くわからず、知らないうちに除雪機(260kg以上)を屋根の上に乗せあわてましたが屋根は大丈夫でした。
 今年は長期間降り続いたために、大屋根の下の除雪までは手が回らず雪が屋根に達してストーブの煙突が隠れてしまいましたので、かんじきを履きスコップで掘り出しました。(写真)
 大屋根の下に突き出している屋根(風呂場や玄関の屋根)は大屋根からの落雪が溜まり、重くなるために屋根が変形しやすいです。
 街で屋根が変形し、壊れているのを見ますが、ほとんどが緩い屋根のひさしの部分で垂木が折れて壊れています。このひさしのところに雪が上から移動して、重さで垂木が折れてしまうのでしょう。このひさしの雪の塊が落ちるので屋根の下は危険です。
 大屋根の下に雪が2m以上溜まると除雪機を上げるのには勾配30度前後の雪の斜路をつけなければなりません。コツを習得するまでまだ時間がかかるようです。
 昔は家の北側には大きな池(融雪用)があったそうです。北側は雪が解け難く、落雪が多いので大屋根までつながりやすいのですが歩いて行くだけで苦労します。除雪機は持っていくための道を切りながら進むと2〜3日かかります。

斜面の上に上げる除雪機
斜面の上に上げる除雪機
北側の大屋根(地面から5〜6m)まで達した雪
北側の大屋根(地面から5〜6m)まで達した雪
北側の大屋根(地面から5〜6m)まで達した雪

 屋根の上の雪はわが家のように勾配が50度あり、トタンをかぶせてあると5〜10cmも積もると落下します。市街地では家が隣接し、屋根から落ちる雪が隣に落ちるのと住居スペースを広げるために屋根を緩くするのでしょうが、雪国は家と家の間隔を広く取り、屋根を急にするのが望ましいです。雪国の家は頑丈に出来ていますが、無住の家は近所の人がボランティアで雪堀をしないと傾き、潰れます。(*1)
 最近、建てる新しい家は土台を高くして、そこを倉庫や車庫にして、家の周りの雪堀をあまりしない家を見かけますが家と家の間隔が必要です。
 私は屋根から煙突が出て、急な勾配の屋根を持つ小さな家に住みたいです。我が家はエアコンを働かせ、薪ストーブを焚いていますが、部屋は天井が高く広く、隙間風が入るために「寒い・寒い」と言いながら生活をしています。

 雪国の家は雪堀が楽で薪を燃やせば家全体が温まる家が理想です。

物置小屋と鶏小屋
物置小屋と鶏小屋
鶏小屋の屋根の雪
鶏小屋の屋根の雪
(*1)
建築基準法では新潟県では300kg/m³の密度に耐えられるように法律で決められているそうですが、これは一坪(3.3m²)に1mの雪(1000kg)が積もっても耐える基準だそうです。
(*)
天気予報に雪マークがついていても降雪量は降水量として1mm単位で表示されています。1mmは大体1cmの降雪量を表しているそうです。雪国でのはなしです。

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