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いさぼうコラム
田舎の技術屋爺

令和8年5月21日

第8話 「ストーブと薪の話」

 昔の家は焼けて、新潟の方言で神主さんを意味する「たよさん」の家を100年以上前(明治の終わりころか不明です)に分解して持って来たと聞いています。そして、この家で産まれたのは叔父と私の二人だけだそうです。
 家は広くて天井が高いので夏は良いのですが、冬は隙間風が入り寒い家で、近所ではなくなった囲炉裏がまだ在ります。屋根はかやぶきでしたが40年くらい前にトタンを被せました。囲炉裏の煙は天井に揚がり、屋根のカヤを長持ちさせるコーティング剤となり、木材の防腐剤となるので時々焚く必要があります。
 昔、囲炉裏は何処の家にも在り、戦争中に東京から疎開してきた母は囲炉裏で煮炊きをして、囲炉裏の横のテーブルで食事をしました。囲炉裏は冬の暖房施設でもあり、寒いとき集まる家族の団欒の場で主人と客の座る席が決まっていました。
 その他の暖房道具は囲炉裏の炭を入れるコタツか湯タンポしかありませんでした。当時の家の中は今よりももっと寒かったと思います。

 ここは父の実家ですが上の兄や姉は中学を卒業する前に東京の学校に転校して、私は小学校の3年になるときに母と中学に入る兄とともに東京に移住しました。
 父は残り、夏休みになると家族が新潟に移動し、冬になると父が東京に移動する生活でした。父亡き後、私は学生で一番下でしたので冬の雪囲いや春の囲い外しをやり、夏には遊びに来ていました。その当時は田舎にもプロパンガスが入り煮炊きに囲炉裏はあまり使わなくなりました。
 当時でも寒いときの暖房は囲炉裏と石油ストーブなどですが、いくら焚いても家の中は暖まらず、厚着して囲炉裏で火を焚き、後ろにストーブを置いていました。社会人になってからは維持管理に時々きましたが、囲炉裏には二階に積んであった焚き木や薪を少し燃やすくらいであまり使いませんでした。

 新潟市に転勤になった時は軽トラで土・日にきては野菜を作り、田舎生活を楽しんでいましたが、真冬には雪に埋もれている家には来ませんでした。
 定年になり非常勤になると仕事がない時期は田舎で生活を始めましたが、冬が近づくと隙間だらけの家の寒さが身に染み、鉄板製の薪ストーブを近所の人から貰い、自分で工夫しながらストーブを設置しました。
 薪ストーブは焚いてみると囲炉裏や石油ストーブとは違い「ほんわか」と部屋全体が暖かくなるのです。これが薪ストーブ生活の始まりです。
 雪が解ける春を待ち、田舎に来てストーブと囲炉裏を焚くことが多くなると薪が必要になりました。
 家の近くにある杉や広葉樹を切り、薪割機を貸してもらい私の薪作りが始まりました。

鉄板のストーブ
かんじきで歩く
ストーブの炎は何とも言えない暖かさです
ストーブの炎は何とも言えない暖かさです

 ストーブが気持ち良いとなると、別の部屋にもストーブが欲しくなり、炎が見える窓付きのストーブを買うことにしました。田舎の家は頑丈ですが、ストーブは70〜80kgと重たいので縁の下にもぐり土台を補強し、ブリキの煙突を取り付けました。
 煙突は縦に長く横が少ないと燃焼が良いそうですが、かやぶきの家は四方が屋根から落雪があり、積雪(落雪)の時期には煙突を出すことができません。そのために雪が無い時期は屋根の外に出して高く(縦を長く)して、冬は屋根のひさしの下に入る煙突を作りました。年二回、煙突の長さを変えるのは案外面倒ですが、いまだにうまい方法が見つかりません。

 薪材は広葉樹の方がゆっくり燃え、煙も少なく薪に適しているのですが、家の周りの広葉樹は太くて大きく、斜面にあるので切るのが難しいです。
 木は春3月頃から9月ごろまで水を吸い上げるので水分が多く、薪の木を切る時期は9月以降が良いです。(秋の彼岸から春の彼岸までとも言うようです)
 水分の多い春から夏の時期に木を切ると切り株から「え〜」と思うほど水が出てきます。その時に切って作った薪は乾燥しにくく、虫が付きやすいです。
 秋に木を伐り乾かして軽くして、長い木は短い丸太にして運搬するのが良いのですが、この時期は農作業などが忙しくなかなかできません。
 雪堀が終わってほっとしたと思うと、今度は木が水を吸い上げる前、木が倒れても地面をあまり傷つけない雪が少し残る時に切り倒します。そして、雪が少なくなって足場が良くなったら短く輪切りにして搬出するのです。

木を輪切りして力丸君に積み込み
木を輪切りして力丸君に積み込み
運んだ丸太を積んで乾燥
運んだ丸太を積んで乾燥

 薪の長さはストーブの大きさに合わせて、長さ35cm~40cmの薪を作ります。木の太い部分はこの長さで輪切りにし、細めの部分は長さ1.2〜1.4mに切り運搬します。
 丸太の運搬は最初は一輪車でやっていましたがこれが重労働で体力勝負でした。太い丸太は一つ大体20〜30kgはあるので一輪車に乗せるのも運ぶのもきついです。
 そんな時、新しく運搬機を買った友達が古い運搬機(力丸君)で、いつ止まるかもしれないが良いならあげると言われ貰いました。キャブレターは交換しましたが一輪車に比べたら運搬が楽で未だに使っています。くれた人に感謝・感謝です。

 薪材は家の近くに運んで積んで置き、しばらくしてから、薪割機を借りて割ります。割った薪は風が通るところに積んで乾燥させ冬前に軒下や家の中の薪棚に入れます。
 住むとなると家の中の薪が無くなるたびに外に出て取ってくるのが大変です。
 家の中に薪を入れる場所が必要ですが、広いわりに薪を積むとなると床の補強が必要で場所がない。
 台所横の壁を壊し、戸をつけて家の中から取れる3.5m³くらいの薪小屋を作りました。
 ひと冬焚く薪となるとかなりの量が必要で、夕方から夜までの5〜6時間で10〜15本は焚きます。一日中焚くにはその2〜3倍は必要です。
 家の中の薪棚は横1.7m、高さ1.5m、奥行き40cmぐらいの棚で約1.1m³くらいの薪棚ですが焚くと2〜3週間で無くなり、一日中ストーブを焚いてはいられないので動いて(働いて)暖を取ります。
囲炉裏はちょろちょろ燃やすのでその半分以下で燃費は良いのですが寒いです。
 寒い冬に暖かい生活をするには二階(昔、蚕を飼っていたそうです)にも薪を蓄積する事を考えていますが、はしごで二階に荷物を上げるのは体力的に難しくなってきました。電動リフトの設置が必要ですが現在設置個所と方法がネックになっています。

愛車「力丸君」です
斜面の上に上げる除雪機

 薪ストーブは何とも言えない温かさが気持ち良く、ストーブの上にやかんや鉄瓶を置けばお湯が沸いているし、鍋を置いてスープ作りや煮物もできます。ジャガイモやサツマイモは濡れた新聞紙で包み、銀紙で包んでストーブに入れるとホカホカの焼きいもができます。オーブンが付いた薪ストーブが欲しいのですが高くて、高くて買えません。
 寒い時期にはストーブで火をつけた豆炭アンカを布団に入れて寝ます。あんかは豆炭1個で24時間近く暖かいのです。最近、倍くらいに値上がりしましたが一個10円前後で24時間はコスパがよいです。
 火を付けるのが少し面倒ですが豆炭アンカを皆さんにお勧めします。最近調べたら8〜9千円くらいですが冬にエアコンや石油ストーブが使えない停電時や災害時にも最高の暖房器具だと思います。
 気を良くして豆炭コタツも買いましたが、豆炭を多く(最大で9個かな)必要とし、あまりコタツに入らない私は使う時間が短く効率が悪かったです。
 ストーブライフは薪がたくさん無いと気持ちの良い生活を確保できないのが難点です。薪は材質と太さで違いますが一束15本ぐらいで700円以上しますから、時々焚くなら良いですが購入薪での暖房生活は高くつきます。

 人類が火を使うようになってから、数十万年以上、きっと人間は燃える炎を見ながら生きてきたのでしょう。ゆらゆら燃える炎はいつまで見ていても飽きません。

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