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小松左京原作の映画化で一世をふうびした「日本沈没」が最近の地震多発を受けてリメイクされるらしい。地震学者によると世界は地震の活動期に入っているらしく、阪神淡路大震災以来大きな地震が世界各地で発生し、昨年暮れのスマトラ島沖地震では世界に地震と津波の恐ろしさを見せ付けた。海溝型地震の発生が近いと言われている日本では、新潟県中越大地震の記憶が覚めやらぬ時期に起こったスマトラ島沖地震の大惨事は、日本沈没を想像させるに足る出来事だったのかもしれない。
政府の地震調査委員会は今年の3月23日、日本全国の地震動予測図を公表した(地図の詳細は地震調査研究推進本部のホームページ(http://www.jishin.go.jp/main/)に掲載されている)。それによれば、30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は、静岡県から四国にかけての太平洋側が軒並み26%以上と最も高く、ついで根室半島から襟裳岬にかけての太平洋沿岸地域や宮城県の太平洋側及び首都圏が6%〜26%と高くなっている。ちなみに、我々が普通の生活をしていてガンで亡くなる確立が6.8%、交通事故で負傷する確立が24%らしい。地震の6%もかなり高い確率であることが分かる。
気になる東海地震や東南海地震、南海地震など海溝型地震の発生確率であるが、東海地震(M8程度)が86%、東南海地震(M8.1前後)が60%程度、さらに南海地震(M8.4前後)が50%程度と極めて高い。また、予測されている日本国内の地震の中で最も高い宮城県沖地震(M7.5前後)の発生確率は、何と99%だ。要するに、30年以内に必ず起こると見られている。一方、あまり話題には上らないが首都圏近辺で予想される海溝型の地震では、茨城県沖(M6.8程度)が90%、その他の南関東の地震(M6.7〜7.2程度)も70%程度と極めて切迫していることが分かる。太平洋側に住む人達は、今すぐ地震に対する備えをしておくべきだろう。
このようになんとなくきな臭い状況の中、7月3日の朝日新聞朝刊に気になる記事が載った。「新潟県中越大地震クラスの地震に見舞われた際に、道路が通行止めとなって孤立する恐れのある集落が全国で約6万(約1400万人)に上ることが、内閣府の推計で分かった」というものだ。ものすごい数だ。中越地震では地すべりをはじめとする土砂災害が多発して旧山古志村など多くの集落が孤立したことを受けて調べたとある。国民の1割強の人たちが孤立する可能性の高い集落に暮らしていることになる。これを多いとするか少ないとするかは考え方次第だが、21世紀になった今でも国民の1割を越す人たちが交通の便の悪い地域に暮らしている実態は、可及的速やかに解消すべき課題であることは間違いない。
孤立するとされる約6万の集落の内訳は、約5万9千集落(約1220万人)が山古志村のような農業集落で、1905(約200万人)が海に面した集落である。海に面した集落の中には、土砂災害で道路が遮断されるだけではなく、津波によって道路が寸断される可能性のあるものも当然含まれている。いずれにしてもこれらの集落は道路網が未整備のいわゆる過疎地と呼ばれる地域であると考えられ、高齢化がかなり進んでいると推察される。災害に対しては、「災害弱者」と呼ばれる人達である。
新聞にも書かれているが、阪神淡路大震災以来とられてきたこれまでの地震対策は、高速道路や幹線道路あるいは鉄道などの耐震化といった都市基盤の防災に重点が置かれてきた。しかし昨年発生した新潟県中越大地震によって中山間地域での立ち後れが顕在化し、地震対策が経済効率だけでは解決できない問題であることに気づかされた。また、地震対策に多くの費用を費やさなければならないのは、地震多発地帯に位置する日本の宿命でもある。大都市周辺の経済的損失を半減させることも確かに重要だが、孤立集落への対策も一刻も早く実施されることが望まれる。
折しも、柘植久慶の「東京大津波」(PHP文庫)を読み終わったところだ。東海・東南海地震が連鎖して発生し、東京をはじめとする太平洋岸沿岸を津波が襲い未曾有の被害をもたらすという小説だ。衝撃だったのは、羽田空港や関西国際空港、さらには完成したばかりの中部国際空港が津波により壊滅的な被害を受け、使い物にならなくなったという下りだ。確かに調べてみてその理由が分かった。中部国際空港の標高は分からずじまいだったが、羽田も関空も標高4.5mと思った以上に低い。津波対策も当然とられているとは思うが、小説の世界ではあるけれどにわかに信憑性があると思わせてしまうのは、スマトラ沖の地震以来津波の破壊力のすさまじさを植え付けられたせいなのかもしれない。
【文責:知取気亭主人】 |