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令和6年能登半島地震情報

令和6年2月8日

2. 「令和6年能登半島地震から30日」

 本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震から 30 日余りが経過しました。

 発災より1か月余りが経過し、被災の全容が明らかとなってきました。人命救助・捜索、孤立集落解消、道路啓開が進み、被災地域の支援・復旧・復興に向けた動きとなりつつあります。石川県は、令和6年2月1日に令和6年能登半島地震復旧・復興本部を立ち上げ、“必ず能登に戻る” “創造的復興”を理念に、復興計画の立案に着手しました。土木業界においても、被災状況調査と並行して、災害復旧に向けた動きが加速しつつあります。

 今回の震災特集では、3つの項目について情報を整理しました。

1. 各機関特設サイトの注目情報 ―被災全容が明らかに―

 震災から1カ月が経過し、各機関による被災調査や震災対応状況が整理されています。

1-1. 国土交通省

 甚大な被害が生じた奥能登地区では、国土交通省が自治体に代わって復旧工事を行う、権限代行や直轄事業による本格復旧工事に着手したことが発表されました。国土交通省と石川県の役割分担が明確になったことで、復旧作業が加速していくものと思われます。

令和6年1月23日
  • 能登半島の主要幹線道路である「能越自動車道」の石川県管理区間
  • 被害が甚大で、多数の孤立集落を生じさせている「国道249号沿岸部」と関連土砂災害対策
  • 輪島中心市街地を二次災害から守るための「河原田川」の河川・砂防事業
令和6年2月1日
  • 地震による被害が甚大で、地域の輸送拠点となる係留施設が大きく損傷した「七尾港」等8港湾
  • 地震により、滑走路に亀裂が発生するなど甚大な被害があった「能登空港」
  • 地震・津波により海岸堤防が倒壊するなど甚大な被害があった「宝立正院海岸」等3海岸
令和6年1月23日 報道発表資料(国土交通省)
拡大表示含む(PDF)
令和6年2月1日 報道発表資料 (国土交通省)
拡大表示含む(PDF)

1-2. 北陸地方整備局

 北陸地方整備局では、発災から1カ月の取り組み状況をまとめています。被災復旧状況を概括するとともに、Tec-Force、リエゾン、各種支援の状況がまとまられています。また、一般の報道等では取り上げられることの少ない、(一社)日本建設業連合会、(一社)石川県・新潟県・富山県 建設業協会、その他業界団体の活動状況についても、紹介されています。それぞれの専門技術を持った方々の尽力で、応急復旧が進められていることに感謝です。

令和6年1月31日 記者発表資料(国土交通省北陸地方整備局)

1-3. 各学会等の特設サイト

各学術団体等でも、令和6年能登半島地震の特設サイトを開設しています。

土木学会

土木学会では、地震工学委員会 地震被害調査小委員会において、土木構造物の調査速報を公開しています。また、海岸工学委員会では、津波調査情報を公開しています。

「2024年1月1日 石川県能登地方で発生した地震(令和6年能登半島地震)」 (土木学会地震工学委員会 地震被害調査小委員会)

「令和6年能登半島地震津波調査情報」 (土木学会海岸工学委員会)

地盤工学会

地盤工学会では発災直後から,北陸支部にて令和6年能登半島地震災害調査団を立ち上げ,災害情報の収集を行っています。調査団は、9分野 “地盤震動”、”災害レジリエンス・斜面災害“、“液状化・側方流動”、“盛土・擁壁・補強土”、“津波・地盤の相互作用”、“港湾・空港”、“宅地”、“基礎構造物”、“ライフライン”について調査研究が開始されています。

日本地理学会

日本地理学会では令和6年(2024年)能登半島地震のページにて、会員による調査報告・情報提供として、“地形変化”、“津波浸水範囲”、“地震断層”といった情報が随時アップされています。

2. 防災学術連携体 令和6年度能登半島地震・1か月報告会

 一般社団法人 防災学術連携体は、防災減災・災害復興に関する62学協会のネットワークで、日本学術会議と連携して活動している学術団体です。令和6年1月31日には、「令和6年能登半島地震・1ヶ月報告会」が開催され、報告会の模様はYouTubeでアーカイブ配信されています。また、報告会の資料もアップされています。 報告会では、専門家からの報告と質疑に対する応答も活発になされました。

 各報告のYoutube動画における開始時刻とキーワードを整理いたしました。すべてを視聴しますと5時間かかります。お忙しい方は、興味のあるキーワードについて、視聴いただけましたらと思います。
 なお、3月25日には3か月報告会も予定されています。

令和6年能登半島地震・1ヶ月報告会 動画 (YouTube) (日本地理学会災害対応委員会)

一般社団法人 防災学術連携体 ホームページ (一般社団法人 防災学術連携体)

2-1. セッション1:令和6年能登半島地震について

報告学会・タイトル・発表者・開始時刻 キーワード
日本地震学会
「2024年能登半島地震と日本地震学会の取り組み」
山岡耕春(名古屋大学)
開始0:9:20
余震域150km、逆断層、最大4m隆起、破壊継続時間40s、海底地すべり
日本活断層学会
「能登半島沖の海底活断層と変動地形」
後藤秀昭(広島大学)
開始0:25:00
海岸沿いに連続する活断層、隆起と傾動、離水域は幅100~200mで連続、海成段丘、10万年オーダーで繰り返し、誘発された内陸活断層
日本地質学会
「能登半島周辺海域の活断層」
岡村行信(産業技術総合研究所)
開始0:39:20
100万年前から東西圧縮で隆起、逆断層と横ずれ断層が共存、富山トラフが構造境界、能登半島北岸沖に活断層、変位速度千年1m(A級活断層)
日本自然災害学会「令和6年能登半島地震による津波の発生と被害―今後の課題と教訓」 
今村文彦(東北大学災害科学国際研究所)
開始0:53:40
津波災害、第一波が早い(即時性)、最大波の遅延、継続時間が長い(閉鎖性)、富山で海底地滑り津波、避難が難しい(人的被害)、家屋被害、沿岸防災施設被害、4~5m
日本地形学連合「山間地および沿岸部における地形変動と今後の見通し: 地形学の観点から」
松四雄騎(京都大学防災研究所)
開始1:08:00
斜面崩壊3000カ所以上、北岸で隆起量が大、崩壊箇所は大起伏山塊の高標高域で多発、地形に依存した地震動増幅(山頂効果)、降雨・融雪に伴う二次土砂移動、土砂量と地形場に依存
日本第四紀学会「能登半島地震による海岸隆起と過去の隆起痕跡(海成段丘・生物遺骸)との関係」
宍倉正展(産業技術総合研究所)
開始1:19:30
海岸隆起、過去の隆起痕跡(低位段丘・生物遺骸)、生物遺骸-隆起量1m未満(数百年間隔)、海岸段丘-隆起量1m超(千〜数千年間隔)
質疑・応答 開始1:34:30 8件

2-2. セッション2:地震に関連する情報と活用について

報告学会・タイトル・発表者・開始時刻 キーワード
日本計画行政学会・地理情報システム学会
「令和6年能登半島地震発生後の情報通信技術の有効性と課題」
山本佳世子(電気通信大学)
開始1:48:10
携帯電話(道路寸断+光ケーブル切断、スターリンク無償提供)、リモートセンシング(衛星画像公開)、GIS(道路状況、被災状況)、ドローン(薬配送、携帯電波中継)、SNS(X、もっといしかわ、インプ稼ぎ)、マスメディア(BS103、Radiko)、ロボット(自衛隊4足歩行ロボット犬やまと)
日本地図学会
「SNSの被災情報の地理空間情報としての活用」
古橋大地(青山学院大学)
開始1:59:10
デジタル地図、OSMクライシスマッピング、ボランタリティー地理情報、オーガニックマップ、#GEOINT、フェイク情報、SNS災害情報の場所を特定、ジオタギング
日本地理学会
「津波浸水分布図の作成とその意義」
岩佐佳哉(大分大学)
開始2:12:40
災害時迅速にマッピング、津波分布・遡上高・到達範囲、津波速報分布公開、半島東側に集中、半島北〜北西岸は津波浸水なし 実浸水範囲は津波浸水想定図と概ね一致
質疑・応答 開始 2:28:00 6件

2-3. セッション3:被災状況と対策について

報告学会・タイトル・発表者・開始時刻 キーワード
土木学会
「土木学会地震工学委員会の調査活動とインフラ被害」
小野祐輔(鳥取大学)
開始2:43:50
現地調査、ライフライン被害、側方流動、道路橋、道路(寸断多発)、鉄道、上水道(長期化)、電力、液状化・側方流動、地震災害ワーストシナリオ、側方流動の復旧復興の難しさ
日本建築学会
「令和6年能登半島地震被害(建物被害について)」
村田晶(金沢大学)
開始2:58:10
建物被害、現地調査、周期1〜2秒成分の住宅建物被害が深刻(珠洲市正院・穴水町)、周期3秒成分の社寺建築物倒壊(珠洲市正院)、旧耐震基準損傷深刻、新耐震基準も損傷、2000年以降は軽微
日本地すべり学会
「令和6年能登半島地震を誘因として発生した地すべりの分布と特徴―空中写真等を用いた地形判読を基に―」
佐藤剛(東京都市大学)
開始3:13:00
多数の地すべり・崩壊、土砂ダム、道路寸断、孤立集落、空中写真判読、起伏量大・新第三系火山岩類で地すべり・崩壊が集中、流れ盤、凸型斜面、尾根切断して地すべり発生、斜面変動タイプの分類
地盤工学会
「令和6年能登半島地震に係る地盤関連被害速報」
新保泰輝(石川工業高等専門学校)
開始3:27:00
現地調査、斜面被害(河道閉塞、岩盤崩落、表層崩壊)、盛土・宅地被害(河川堤防、高台の谷埋め盛土、道路盛土、ゆすり込み沈下)、液状化被害(かほく潟周辺、富山市、新潟市)
日本火災学会
「令和6年能登半島地震で発生した地震火災の概要」
廣井悠(東京大学先端科学技術研究センター)
開始3:42:00
出火件数17件
輪島市河井町市街地火災5.2ha・309棟
南西部1点から出火、飛び火なし、木造密集地域、LPガス、建物倒壊、断水、自然水利用困難、津波浸水想定区域内
質疑・応答 開始3:56:40 10件

2-4. セッション4:避難・救援活動について

報告学会・タイトル・発表者・開始時刻 キーワード
日本災害医学会
「令和6年能登半島地震への災害医療対応」
近藤久禎(厚生労働省DMAT事務局長)
開始4:20:30
医療福祉提供者を支援、地域孤立、高い高齢化率、重症患者搬送、透析患者搬送(1/4)、病院最低限環境確保(1/8)、高齢者施設最低環境整備(1/12)、広域避難搬送(1/18)、いっとき待機ステーション設置、継続的な医療福祉機関の確立
日本災害看護学会
「令和6年能登半島地震における先遣隊活動」
酒井明子(福井大学)
開始4:37:50
先遣隊活動珠洲市(1/2〜現在)、福井より8時間、保険医療福祉調整本部支援、避難所・人数把握、野外仮設トイレ、トイレ誘導、高齢者の排せつ管理苦労、コミュニケーション・癒しの場、体操・発声、避難所の環境整備、二次避難相談、ペット避難
質疑・応答 開始4:53:10 2件

3. 震災復旧・復興に活用できるデジタル情報が公開

 震災復旧・復興に資するため、行政機関が所有するデジタルデータの公開が進んでいます。

3-1. 地盤ボーリング情報

 (一財)国土地盤情報センターが、能登半島地震の緊急公開サイトを開設して、石川県内の情報を公表しています。これまでも、国土地盤情報検索サイトKuniJiban において、地盤ボーリング情報は公開されていましたが、石川県内では主に国交省のデータに限られていました。今回の緊急公開サイトでは、石川県および石川県市町が実施した近年のボーリングデータも、公開されました。下図に示すように、従来から公開しているKuniJinanと比較すると、参照できる地盤情報が大幅に増加したことがわかります。

(一財)国土地盤情報センター ホームページ (一般財団法人 国土地盤情報センター)

地盤情報緊急公開サイト 令和6年能登半島地震 石川県 (一般財団法人 国土地盤情報センター)

緊急公開サイトとKuniJiban(従来公開サイト)の比較
拡大表示(PDF)
地盤情報緊急公開サイトの例(七尾市付近 ■の地方公共団体データが大幅に増加)
拡大表示(PDF)

3-2. 被災前の詳細地形データ

 石川県農林水産部において令和2年度より整備してきた森林資源管理の基礎資料として計測した奥能登地区の航空レーザー測量成果が公開されました。公開データは、G空間情報センターにてダウンロードすることができます。

 さらに東京都では、2月2日より、サイバー空間上に3D都市モデルを公開する「東京都デジタルツイン3Dビューア」に、能登半島地震の被害状況に関する地理空間データの掲載を開始しました。点群データは石川県のデータを東京都がカラー化などの加工を行った上で掲載しており、CS立体図や被災後の国土地理院オルソ画像、斜面崩壊・堆積分布データなどの重ね合わせができます。

令和6年能登半島地震 能登東部・西部の3次元点群データ(発災前)「DSM」

令和6年能登半島地震 能登東部・西部写真地図画像データ(発災前)「オルソフォト」

令和6年能登半島地震 能登東部微地形表現図データ(発災前)「CS立体図」

令和6年能登半島地震 能登西部微地形表現図データ(発災前)「赤色立体地図」

令和6年能登半島地震 能登東部・西部グラウンドデータ(発災前)「DEM」

令和6年能登半島地震 能登東部・西部3次元点群データ(発災前 色付き・ジオイド高変換済み)「石川県成果をもとに東京都が整備した色付きDSM」

G空間情報センター ホームページ (G空間情報センター)

東京都デジタルツイン3Dビューア (東京都デジタルツインプロジェクト)

1.「令和6年能登半島地震から10日」 [2024.01.11公開]

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