みなさまは、どのような「法面緑化」が望ましいとお考えでしょうか。
従来から多用されてきたイネ科外来牧草類による法面緑化は、外来種の逸出により固有種を脅かすなど生物多様性保全上の問題が指摘されており、在来種を使用する緑化が望ましいという考え方に変わってきています。 しかしながら、残念なことに一般市場から調達できる在来種(ヨモギ、イタドリ、メドハギなど)は、そのほとんどが外国から輸入された外国産在来種、つまり外来種なのです。
これらはわが国固有の在来種と比べて植物の形態が異なるだけでなく、交雑による遺伝的地域性の喪失や,種子に混在している意図しない新たな外来種が持ち込まれことによる生態系の攪乱の問題があることから、法面緑化では国内で採種した在来種(国内産在来種)を使用することが大切です。
当協会は、1995年に生物多様性に配慮した法面緑化の推進を目的に設立し、その3年後の1998年に国内産在来種子の貯蔵出荷施設「RSセンター」を開設して種子の供給体制を整え、全国各地でタネから森林を再生する斜面樹林化工法による自然回復緑化を推進してまいりました。最近では、地元で採取した地域性系統の種子をRSセンターで貯蔵し、施工適期に法面緑化で使用する新しいスタイルの緑化工事にも対応しています。
斜面樹林化工法は、「2層吹付システム」と、自然侵入促進工を組み合わせた「エコストライプ仕様」という独自技術を用いて、法面防災と植生回復の両立を図り、法面の樹林化というグリーンインフラを通じて低炭素型社会づくりに貢献してまいります。
会長 瀬高 末広