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令和6年能登半島地震情報

令和6年4月11日

4. 「令和6年能登半島地震から100日」

 本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震から100日が経過しました。

 発災より3ヶ月余りが経過し、復旧・復興へ向けた取り組みが進められています。国土交通省や石川県では、本格復旧に向けた技術検討委員会の議論が進んでいます。また、令和6年度のスタートと併せて、震災対応への組織改編や新たな体制も整備されています。

 東日本大震災を契機に発足した防災学術連携体では、令和6年度能登半島地震に関する1か月報告会につづき、3ヶ月報告会が開催されました。

 一方、被災地では避難生活が長期化しています。半島という地理的条件により、支援者やボランティアの活動に制約が多いこともあって、復旧がなかなか加速できていない面もあります。今回、実家が奥能登地域にあるスタッフの現地報告をインタビュー形式でお伝えします。インタビューの中で、“仕事にために避難所へ戻る”という話が、強く印象に残りました。

1.各機関特設サイトの注目情報 ―本格復旧に向けた体制整う―

 新年度のスタートと併せて、各機関において本格復旧へ向けた体制整備が進んでいます。

1-1. 国土交通省

 ●社会資本審議会道路分科会道路技術小委員会

 国土交通省社会資本審議会道路分科会道路技術小委員会では、“令和6年能登半島地震を踏まえた道路構造物の技術基準“を議題に、令和6年3月26日に第22回道路技術小委員会を開催しました。

 令和6年能登半島地震における道路構造物(橋梁、土工、トンネル)の被害分析のとりまとめ結果より、技術基準改定の方向性が示されました。具体的には、橋梁、土工、トンネルとも、現行基準の妥当性を覆す事象や知見は現時点では確認されていないことから、今回の地震被害を踏まえた技術基準の充実・整備を検討するとされています。

 能登半島地震による道路構造物の被災状況のポイントは以下のようにまとめられています。これらの地震被害を踏まえた技術基準の充実・整備の検討が進められるとのことです。

道路構造物(共通事項)
  • 今回の地震動は能登半島地域では、技レベル2地震動と同程度
  • 国道249沿岸部の大規模斜面崩壊や地すべりによる交通途絶は、構造物のみで被害を防ぐには限界がある。
  • 橋と土構造物、トンネル坑口等、構造物の境界部付近での変状が交通機能に著しい障害を及ぼした。
橋 梁
  • 落橋した橋梁なし
  • 兵庫県南部地震以後に設計された橋の本体は概ね軽微な被害
  • 周辺盛土や堤防の変状に伴って橋台の異常変位が残留する例が散見、本復旧の遅れ
  • 橋台背面に小規模な段差は多数発生、速やかに機能回復できている
土工_能越道
  • 平成25年の土工締固め管理基準変更および排水対策改良後は、被害が軽微
       平成25年以前 盛土大規模崩壊 28箇所/129箇所=22%
       平成25年以降 盛土大規模崩壊 0箇所/ 26箇所= 0%
  • H19地震で大きく被災し、補強や排水等の対策を講じた盛土は、被害がほぼ軽微
  • H19地震で被災がない箇所でも、水が集まりやすい沢埋め高盛土は、大きな被害
  • 車線数(盛土幅)が大きいほど、交通機能の全損失には至りにくい傾向
土工_国道249号沿岸部
  • 斜面崩壊は、山自体が大きく崩壊
  • 地すべり箇所は、想定以上のすべりが発生
トンネル_国道249号沿岸部
  • 規模が特に大きな損傷(覆工の崩落)は2箇所(大谷トンネル、中屋トンネル)
       覆工塊の落下 ・・・2箇所
       圧ざ/せん断ひび割れ・・・1箇所
       大規模なひび割れ ・・・2箇所   石川県内震度6弱以上 67箇所のうち
  • 地山の大規模な変形によって確保していたトンネル内空が変形し、覆工の崩落が発生
       大谷トンネル・・・地すべり地帯
       中屋トンネル・・・地質の変化が大きい区間や地山が膨張性を示す区間
令和6年能登半島地震を踏まえた道路構造筒(橋梁、土工、トンネル)の技術基準の方向性(案) P2
(国土交通省)
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1-2. 国土交通省北陸地方整備局・石川県

 ●令和6年度能登半島地震 道路復旧技術検討委員会

 国土交通省北陸地方整備局・石川県は、令和6年3月27日に第2回 令和6年度能登半島地震 道路復旧技術検討委員会を開催しました。本委員会において、当面の復旧に向けた施工方針・留意点 骨子(案)を議論しました。

 被害状況を踏まえた当面の復旧に向けた施工方針・留意点は以下のような方向性が示されました。地すべりによりリスクが高い箇所については、海岸隆起により新たに発生した陸地を活用した復旧検討も進めることとされています。国道249号沿岸部の多くは、能登半島国定公園に指定されることからも、関係機関と調整の上、復旧が進められる予定です。

能越自動車道
  • 道路用地を最大限に活用して、早期復旧を目指す。
  • 盛土崩壊箇所は、H19震災対策と同様な盛土補強、排水対策の実施を基本
当面の復旧に向けた施工方針・留意点 骨子(案) P4
(国土交通省北陸地方整備局)
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国道249号沿岸部
  • 大規模崩落箇所のうち千枚田地区は、現道位置で多くの地すべりが発生しており高いリスクを有しているため、技術的に可能な海岸隆起を活用した復旧の検討も進める。
  • 大規模崩落個所のうち大川浜地区、逢坂トンネル付近は、現道位置で多くの地すべりが発生しており高いリスクを有しているため、海岸隆起を活用して応急復旧する案も含めて、復旧することを目指して技術的に可能か検討を進める。
  • 啓開不能・通行止めの中屋トンネルは、現位置において地すべり等の継続的かつ大規模な変位を生じるリスク要因が比較的少ないことから、周辺に迂回路がないことも踏まえ、覆工崩落箇所の縫い返し施工後、プロテクター(1車線)により応急復旧予定。(本復旧も、現トンネルで崩落しづらい対策を講じることを想定。)
  • 啓開不能・通行止めの大谷トンネルは、現位置において地すべり等の大規模な変位を生じるリスクが少なくないことから、当面の間、詳細な調査や動態観測が必要なため、周辺の県道を迂回路として利用。
当面の復旧に向けた施工方針・留意点 骨子(案) P10
(国土交通省北陸地方整備局)
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大規模被災箇所(能越自動車道・国道249号)
(国土交通省 北陸地方整備局)
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1-3. 石川県

 石川県は、3月28日に第2回 能登半島地震復旧・復興本部会議を開催し、想像的復興に向けたプランの骨子案を公開しました。復興プランは、半島という地理的特性と長期的な人口減少というう課題に向き合いながら創造的復興を目指すこととしております。計画期間は短期(2年後)、中期(5年後)、長期(9年後)のステップで計画することとしてます。

 また石川県は、能登半島地震からの復旧・復興に向けて国などと調整を行う専門の部署を4月1日に発足させました。新たに発足したのは「能登半島地震復旧・復興推進部」で、創造的復興推進課と生活再建支援課の2つの課と輪島市に現地対策室を設置しました。国や被災自治体の間に入り、復旧・復興に向けた作業がスムーズに進むよう調整役を担うとしています。

石川県創造的復興プラン(仮称)骨子案(石川県) P1
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1-4. 農林水産省北陸農政局

 農林水産省北陸農政局は、令和6年能登半島地震からの復旧・復興に向けて、七尾市及び穴水町の海岸施設災害復旧工事、輪島市の地すべり防止工事及び珠洲市のダム復旧工事に関し、国が権限代行などにより行う一連の調査・工事を迅速に進めるため、令和6年4月1日、能登半島地震災害復旧現地事務所を穴水町に設置しました。

 農林水産省では、令和6年3月1日に、農地海岸事業及び農地地すべり事業を県に代わって国が施行する直轄代行事業や、管水路の破損などの被害を受けた国営造成土地改良施設の復旧のための直轄災害復旧事業を実施することを発表してます。

令和6年能登半島地震からの復旧・復興に向けた北陸農政局の取組
(農業用施設等の復旧に係る直轄代行事業及び直轄災害復旧事業の実施)
(農林水産省北陸農政局 令和6年3月1日 報道発表資料)
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直轄代行事業及び直轄災害復旧事業の概要
(農林水産省北陸農政局 令和6年3月1日 報道発表資料)
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1-5. のと鉄道

 能登半島地震で被災した のと鉄道 七尾線は、令和6年4月6日、全線で運行再開しました。

 七尾線は、1月1日に発生した地震の影響で線路や駅設備等に大きな被害を受け、全線で運転見合わせになっていました。2月15日以降は七尾駅〜能登中島駅間で運転を再開、4月6日には能登中島駅〜穴水駅間も運転再開となりました。

 能登鹿島駅は「能登さくら駅」とよばれ、ホーム沿いにソメイヨシノが植えられており、ちょうどいま、見ごろを迎えています。2021年5月21日放送のNHK『ドキュメント72時間』に取り上げられたこともあって、多くの観光客が訪れていました。

2. 令和6年能登半島地震3ヶ月報告会

 2024年1月1日に発生した 令和6年能登半島地震 に対して、多くの学協会は、救援活動や緊急調査・研究を精力的に続けています。令和6年3月25日には、日本学術会議 防災減災学術連携委員会と一般社団法人防災学術連携体が共催にて、防災学術連携体『令和6年能登半島地震三ヶ月報告会が開催されました。報告会の模様は、Toutubeにてアーカイブスで配信されるとともに、報告会資料が公開されています。

令和6年能登半島地震 三ヶ月報告会 (一般社団法人 防災学術連携体)

Youtubアーカイブ(日本学術会議 防災減災学術連携委員会、一般社団法人 防災学術連携体)

司会:
米田雅子(防災学術連携体代表幹事、東京工業大学特任教授)、 永野正行(日本学術会議連携会員、東京理科大学教授)
0:00:48
開会
0:02:05
開会挨拶 三枝信子(日本学術会議副会長、国立環境研究所地球システム領域長)
0:04:57
趣旨説明 竹内 徹(日本学術会議会員、防災減災学術連携委員会委員長)
0:07:17
来賓挨拶 高橋謙司(内閣府 政策統括官(防災担当))
【セッション1 「令和6年能登半島地震について」】
0:14:18
日本地震学会「令和6年能登半島地震とその災害について」吾妻崇(産業技術総合研究所主任研究員)
0:29:28
日本第四紀学会「津波堆積物を用いた能登半島地震による浸水高の推定」 北村晃寿(静岡大学教授)
0:41:30
日本火災学会「能登半島地震に伴う地震火災・津波火災について」西野智研(京都大学准教授)
0:54:40
日本リモートセンシング学会「令和6年能登半島地震におけるリモートセンシングが果たした役割・成果」伊東明彦(株式会社ツクリエ)
1:07:53
廃棄物資源循環学会「令和6年能登半島地震における災害廃棄物処理への対応」佐伯孝(富山県立大学准教授)
1:21:36
質疑応答(10分)
【セッション2 「地形変化と土砂災害について」】
1:35:15
日本地質学会「令和6年能登半島地震震源域の変動地形と海陸境界断層」石山達也(東京大学准教授)
1:49:05
日本応用地質学会「令和6年能登半島地震の土砂災害とその応用地質学的な特徴」塚脇真二(金沢大学教授)
2:02:44
2:16:09
地盤工学会「令和6年能登半島地震により発生した液状化・側方流動被害」豊田浩史(長岡技術科学大学教授)
2:30:03
質疑応答(10分)
【セッション3 「被災状況と対策、復興について」】
2:42:45
日本地震工学会「地震工学的視点から見た能登半島地震の被害と教訓」
2:54:36
土木学会「令和6年能登半島地震によるライフライン被害」小野祐輔(鳥取大学教授)
3:08:05
日本免震構造協会「能登半島地震における免震建物の挙動について」久田嘉章(工学院大学教授)
3:21:44
日本建築構造技術者協会令和6年能登半島地震を踏まえて_建築構造設計者として何ができるか」小林秀雄(日本設計執行役員フェロー)
3:35:38
日本都市計画学会「復興の論点」加藤孝明(東京大学 教授)
3:49:36
質疑応答(10分)
【セッション4 「避難・救援について」】
4:01:48
災害看護学会「能登半島地震における中長期看護活動」酒井明子(福井大学名誉教授)
4:15:40
日本公衆衛生学会「令和6年能登半島地震における公衆衛生活動」奥田博子(国立保健医療科学院上席主任研究官)
4:30:05
日本災害医学会「令和6年能登半島地震への災害医療対応」近藤久禎(国立病院機構DMAT事務局長)
4:45:08
日本災害復興学会「能登半島地震でのボランティア活動」頼政良太(関西学院大学助教)
4:58:29
日本社会学会「二次避難による被災者の無力化と地域コミュニティ離散」阿部晃成(宮城大学特任助教)
5:12:26
地域安全学会「石川県庁の能登半島地震対応へのアクション・リサーチ」菅野拓(大阪公立大学准教授)
5:27:45
質疑応答(10分)
5:41:18
閉会挨拶 和田 章(防災学術連携体代表理事、東京工業大学名誉教授)

3. 現地報告:被災地の実情 ―被災した実家を訪れて−

 弊社職員の一人が、震災3ヶ月を前に、奥能登地域の能登町で被災した実家を訪れました。能登町は、富山湾側に面した内浦と呼ばれる地域で、震度6強の揺れと、地震後には津波被害を受けました。その時の様子をインタビュー形式でお伝えします。

Q:地震時はどこに?

A:例年、年始は能登町の実家に帰省していたものの、今年はたまたま金沢の自宅にいたので、被災しませんでした。地震後、なかなか家族に連絡がつきませんでした。お正月で帰省していた大学生の姪っ子が、携帯電波の繋がる場所を探して、なんとか連絡をくれ、身内の全員が無事であることが分かりました。特に山手の親戚の安否がわかるまでには、数日かかりました。

Q:ご家族は皆さん無事でしたか?

A:無事でした。

Q:実家の家屋の状況は?

A:2階建てのごく一般的な木造家屋でしたが、自治体の応急危険度判定で全壊判定となりました。倒壊はしなかったため、家族は無事でした。屋根瓦も落下することもありませんでした。ただ、家屋の中はめちゃくちゃで、1Fも2Fも床が傾いていて、歩くと平衡感覚がおかしくなる状況です。家屋周りには多数の地割れも発生していました。地割れした箇所には雨水が溜まり、緩みが生じ、この箇所から家屋の傾きが更に進んでいるようでした。とても住める状態ではなく、地震後、家族は避難所に身を寄せていました。

Q:いつぐらいに建てられた家屋?

A:築三十数年、1990年頃です。

Q:1981年の建築基準法改正後ですね。1981年の「新耐震基準」以降は、震度6強程度の大地震で倒壊・崩壊しないことが求めれれていますので、何とか倒壊は逃れたといったところかと思います。一方、現行の耐震基準(2000年基準)で義務化されている地盤調査は当時、求められていませんでした。家屋の周辺に地割れが多数生じていることから、基礎の不同沈下が生じ、家屋が傾動したのかもしれませんね。
 ところで、奥能登地方は能登瓦と呼ばれる黒い瓦屋根の家屋が見渡す限り続いてますよね。地震を考えると、屋根が重いのは不利だと思うのですが、なぜ、瓦屋根が圧倒的に多いのですかね?

A:奥能登では“瓦自慢”という言葉があります。『あの家の瓦は重くて黒光りして、立派!』・・・といった会話がなされるほどです。屋根を瓦にするのは常識(文化)です。

Q:津波はどうでした?

A:実家は海まで150m程の距離でしたが、少し高台にあるため、浸水はありませんでした。ただ、集落内では津波被害にあった家屋もありました。津波の被害は、津波浸水ハザードマップと概ね一致していたようです。

Q:周辺はどんな様子でしたか?

A:集落には三十数戸の家屋がありましたが、多くが地震動と津波により被災して、なんとか住める家屋は、数軒程度と聞いています。多くの方が、二次避難しているようです。海沿いは津波の痕跡もまだ残っている状況です。

Q:家屋周辺の地形は?

A:海岸沿いの平野部です。軟弱な地盤だったのかもしれません。同じ能登町内でも、平野部以外の岩盤が分布する地域では、築100年以上の家屋でも、被害はあまりなく、震災後も住めている家もあります。同じ震度(地震動)であっても、基礎の地盤によって、家屋被害に大きな差があることに驚いています。事前にハザードマップような形で揺れやすさ等がわかっていれば・・・とも思いました。

Q:実際に実家を見て、いかがでしたか?

A:現地に行ったのが3月の2週目です。被災から2週間後くらいから、金沢へ二次避難していた家族と一緒に、向かいました。金沢からの道路状況がある程度整備されて、また途中の道の駅やサービスエリアでトイレが整備されたのを待ってのタイミングでした。また、家族は、仕事の再開に併せて、能登町内へ戻る必要がありましたので、その引越しと実家の片付けに向かった次第です。

Q:仮設住宅には、まだ入居できないですよね?

A:そうです。能登町内の避難所への移動です。仕事があるため、避難所で暮らさざるをえない人がたくさんいます。自治体職員でも、避難所から通って、地域を支えているのが現状のようです。

Q:避難所生活での困りごとは聞いていますか?

A:トイレ・お風呂・洗濯ですね。“トイレ”はだいぶ改善されてきましたが、地震直後は想像どおり、なかなか壮絶だったようです。避難所で生活している方々で、トイレ掃除の当番を決めてうまく回るまで、苦労したと聞いています。二つ目は、“お風呂”です。自衛隊が開設したお風呂に、連日、列を作っていたとのことです。町や民間の入浴施設も順次再開されつつありますが、特に、仕事をしていると日中に利用することは難しく、夜、利用できるお風呂があることが助かっているようです。自衛隊等の支援が今後縮小されるのが心配と聞いています。三つ目は“洗濯”です。洗濯は、数は少ないですが公共の洗濯機が用意されていました。深夜0時まで営業しているコインランドリーを利用されている方も多くいらっしゃるようでした。

Q:家屋の片付け等は進んでいますか?

A:宿泊施設の問題から、町で受け入れ可能なボランティアが少なく、なかなか進んでいないのが実情のようです。実家の方は、たまたま個人的なつながりで、被災地での活動経験が豊富なボランティアの方々に、家財の運びだし等をお願いすることができました。ボランティア仲間の電気屋さんを手配してくれて、エアコンの取り外し等もしていただけ、非常に幸運でした。自分たちで炊き出しや宿泊も段取りするような、“プロボランティア”といってもよい方々でした。

Q:震災から3ヶ月が経過して、避難している方々は何を望まれていますか?

A:まだ避難所生活が続いているため、何より仮設住宅の完成を待ちわびています。

Q:これから能登の復興に向けて、地元に対しどんな思いがあります?

A:半島という地理的に不利な条件も重なり、ボランティアをまだ十分受け入れられることができていない状況です。片付けもまだまだ全然進んでおらず、景色が変わっていません。一方で、マスコミ等の報道も減ってきており、SNSで地震に関する情報を発信できる若者も少なく、この能登地震が忘れ去られてしまうのが心配です。能登特有の、“我慢する文化”も大切かもしれませんが、ぜひ声をあげていければと思います。

能登町 津波浸水被害の状況(弊社職員撮影)
能登町 「フィッシングブリッジ赤崎」津波浸水被害の状況(弊社職員撮影)

◆今月の1枚

能登町 「イカキング」

 能登町小木の「イカの駅つくモール」に鎮座する、スルメイカ巨大モニュメント。2021年4月完成。「イカの駅つくモール」は、日本三大イカ釣り漁港に数えられる小木漁港のそば、九十九湾に面した地に2020年6月にオープン。イカ料理に、イカ墨ソフト、イカの特産品…などなど、その名に違わずとにかく “イカづくし”!で、そのどれもがとにかくおいしい。

 令和6年1月1日の能登半島地震に伴う津波により、浸水するものの、目立った傷もなく無事だった。1月20日更新の公式Xでは、「津波が迎えに来ましたが、海には帰らず、いつもの場所にいます。奥能登が好きだから。これからも奥能登を元気にするぞ」と無事を報告した。震災後休業していた「イカの駅つくモール」は、4月8日より、営業を再開した。

 被災前の姿はこちら 「イカキング」 (能登町観光ガイド)

1.「令和6年能登半島地震から10日」 [2024.01.11公開]

2.「令和6年能登半島地震から30日」 [2024.02.08公開]

3.「令和6年能登半島地震から70日」 [2024.03.14公開]

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