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令和6年能登半島地震情報

令和6年7月4日

5. 「令和6年能登半島地震から半年」

 本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震から約半年が経過しました。

 北陸地方も梅雨に入り、能登半島地震に伴う土砂災害箇所の二次災害が心配な季節を迎えています。石川県および石川県内自治体では、今週で第24次となる災害査定が進められています。災害査定は令和6年中の完了を目標に、作業が進められています。また、復旧工事の方も本格化しつつあります。国土交通省が直轄代行する国道249号などの道路復旧を中心に、今年2月に新設された能登復興事務所より、6月末までに30件以上の入札公告が出されています。石川県においても、土木部および農林水産部あわせて200件以上の災害関連の応急復旧工事が入札公告されています。
 いさぼうネット編集部では、発災後半年が経過した能登半島の現状を、写真を中心にお伝えします。今回、第1弾として、能登半島最北端の珠洲市の様子を中心にお届けします。

1.各機関特設サイトの注目情報 ―復旧・復興に向けて―

 本格復旧・復興へ向けた動きが進んでいます。

1-1. 国土交通省

 ●「のと里山海道」「能越自動車道」7月17日から対面通行可能に【北陸地方整備局】

 北陸地方整備局は、「のと里山海道」「能越自動車道」(徳田大津IC〜のと里山空港IC間)について、7月17日(水)より全区間で対面通行となることを令和6年6月25日に発表しました。現在、徳田大津IC〜のと里山空港IC間は、金沢から輪島方面の1方向のみの通行となっています。特に、輪島から金沢方面に戻る車両が混雑する帰宅時間には、穴水町中心部付近で連日流れが悪くなっています。対面通行が可能となることで、能登方面に往復する移動時間の短縮が見込め、本格的な復旧・復興を後押しすることが期待されます。

 ●国道249号 大規模被災箇所における通行確保の見通し【能登復興事務所】

 北陸地方整備局能登復興事務所は、国道249号(輪島〜珠洲間)における大規模被災により現在、通行止等となっている区間の通行確保時期の見通しを、令和6年6月28日に発表しました。覆工コンクリート崩落のあった輪島市、中屋トンネル工区は9月末までに1車線通行を確保、地すべりによる大規模崩壊のあった大川浜地区および逢坂トンネル工区は、年内に1車線通行確保の見通しとなっています。

国道249号 大規模被災箇所の通行確保時期の見通しについて
(能登復興事務所)

1-2. 石川県

 石川県は、能登半島地震からの創造的復興に向けた道筋を示すため、令和6年6月に「石川県創造的復興プラン」を策定しました。プランの特徴として、能登の人々が将来に向けて夢と希望が持てるような、そして、外からも多くの人々を引き付けるような、「新しい能登」を創造する夢のある思い切ったプロジェクトを「創造的復興リーディングプロジェクト」と位置づけ、13の取り組みについて、施策を展開していくこととしています。

 取組1   復興プロセスを活かした関係人口の拡大
 取組2   能登サテライトキャンパス構想の推進
 取組3   能登に誇りと愛着が持てるような「学び」の場づくり
 取組4   新たな視点に立ったインフラの強靭化
 取組5   自立・分散型エネルギーの活用などグリーンイノベーションの推進
 取組6   のと里山空港の拠点機能の強化
 取組7   利用者目線に立った持続可能な地域公共交通
 取組8   奥能登版デジタルライフラインの構築
 取組9   能登の「祭り」の再興
 取組10   震災遺構の地域資源化に向けた取り組み
 取組11   能登半島国定公園のリ・デザイン
 取組12   トキが舞う能登の実現
 取組13   産学官が連携した復興に向けた取り組みの推進

 震災前より、少子高齢化や限界集落といった課題を抱える能登地域は、いかに震災復興を進めていくのかに直面しています。

2.現地報告 ―写真で巡る能登半島のいま― 珠洲市編

 いさぼうネット編集部では、発災後半年が経過する能登半島の現在の姿を、全国の読者の皆様に少しでもお届けできれば・・・との思いから、―写真で巡る能登半島のいま−と題し、レポートします。第1弾は能登半島最北端の珠洲市です。去る6月26日、梅雨の晴れ間を狙って、金沢より一路珠洲市へ向かいました。

① 能登町天坂 8番らーめん能登柳田店

石川県民のソウルフード「8番らーめん」。能登空港から珠洲市に向かう珠洲道路に面した店舗。震災後の3月7日、奥能登地方ではいち早く営業を再開した。店舗後方の斜面崩壊は震災当時と変わっていない。

② 珠洲市飯田町 ショッピングプラザ「シーサイド」

飯田港に面するショッピングセンター。地震に伴う津波により施設が壊滅状態となった。飯田港共同店舗事業協同組合は、再建に向けた協議を進めたものの、再建を断念した。1979年の開業当初は、奥能登最大の複合型ショッピングセンターとして客を集めていたが、近年は過疎化や同業他社の出店で厳しい経営となっていた。

③ 珠洲市飯田町 飯田港周辺

ショッピングプラザ「シーサイド」駐車場と飯田港。震災前には、スーパーでお昼ごはんを買って、海を眺めながら一休みできるスポットだった。当地は昭和40年代に都市開発事業として埋立地として造成されたこともあって、津波と液状化・側方流動による沈下・損傷等の損壊が著しい。前日が雨であったこともあり、凹地は巨大な水溜りとなっていた。

④ 珠洲市正院町 内浦街道

津波と地震動により建物倒壊が著しい地区の一つ。県道にはみ出した建物の多くは撤去され、更地となる宅地も目に付く。一方、倒壊したままで手付かずの宅地もまだまだ多い。(震災前の様子)

⑤ 珠洲市蛸島町 市営グラウンドゴルフ場 応急仮設住宅

市営グランドゴルフ場に応急仮設住宅が建設される。写真奥は、珠洲市唯一のリゾートホテルの珠洲ビーチホテル。地震により甚大な被害を被り、休業している。一部、復旧支援団体を受入れしているのみで、一般客の受け入れは再開できていない。

⑥ 珠洲市三崎町粟津 主要地方道大谷狼煙飯田線

粟津海岸沿い、砂浜が広がる心地よいドライブルート。路面の応急復旧は完了しているものの、倒壊した家屋が県道にはみ出したままとなっている。(震災前の様子)

⑦ 珠洲市狼煙町 狼煙漁港で進む災害復旧工事

狼煙漁港では能登半島地震による1.5m程の隆起により、水深が浅くなり、船舶の入港ができなくなった。第4種漁港(避難港)に指定されることから、水産庁による直轄代行により、災害復旧工事を進めており、クレーン付き台船による浚渫工事が実施中であった。

⑧ 珠洲市狼煙町 道の駅-狼煙-のトイレ

能登半島の最先端のある道の駅。金、土、日曜日のみ営業中で、取材当日はお休み。トイレは、浄化槽が損傷している模様で、災害用トイレが常設設置されている。写真奥の駐車場には、応急仮設住宅の基礎工事が進められつつある。

⑨ 珠洲市折戸町 主要地方道大谷狼煙飯田線 吹付法枠工

県道道路のり面の吹付法枠工。枠内から青い空が見えている。のり枠工背面の地山が道路と反対側の海側へ崩壊し、枠材のみが自立して残っている。

⑩ 珠洲市折戸町 不安定岩塊

県道沿いの斜面高所にある奇岩。獅子岩や栄螺岩とも呼ばれて、根固め工およびグラウンドアンカー工による落石対策がなされているように見える。その近傍で崩壊が発生し、新たな不安定岩塊が生じている。直下の主要地方道大谷狼煙飯田線は、一般車通行止めとなっている。

⑪ 珠洲市高屋町 隆起海岸

地盤隆起により、汀線が数百m沖へ移動、新たに形成された海岸段丘面。奥能登絶景街道の新たなビュースポットとなる。

⑫ 珠洲市高屋町 地すべり

急傾斜地崩壊危険区域での土砂災害。緊急地すべり対策事業「高屋地区」(実施主体:石川県)。ボーリング調査用のモノレールが架設されており、地質調査が進められている。

⑬ 珠洲市高屋町 高屋漁港の応急仮設住宅

高屋漁港に建設中の応急仮設住宅。建設地は津波浸水想定区域にあたる。奥能登地域では、応急仮設住宅に適する平坦地が海岸沿い、河川沿いに限られるため、洪水・土砂災害・津波災害の可能性のある区域に設置せざる得ないケースが多い。

⑭ 珠洲市馬緤町 国道249号大谷ループ橋

写真奥に国道249号大谷ループ橋の一部が見える。国道249号は珠洲市若山町〜大谷町間で、通行止めとなっている。特に大谷トンネルおよび大谷ループ橋で大規模損傷が生じており、別ルートでの復旧を含め検討が進められている。

⑮ 珠洲市馬緤町(赤神) 隆起海岸

地盤隆起により、汀線が数百m沖に移動する。写真奥の崩壊地は、緊急地すべり対策事業「珠洲赤神地区」(実施主体:石川県)。直下の主要地方道大谷狼煙飯田線は、一般車通行止めとなっている。

⑯ 珠洲市清水町 道の駅 すず塩田村

珠洲市清水町では、日本で唯一残る海水をくみ上げて塩を作る揚げ浜式製塩が行われている。震災後、海岸線が50m程後退したものの配管を延長するなどして、なんとかを再開している。道の駅すず塩田村は、まだ休止している。写真奥の地すべり崩壊地は、直轄災害関連緊急事業「清水@地区」(実施主体:国交省)。

⑰ 珠洲市仁江町 地すべり

直轄災害関連緊急事業「清水A地区」(実施主体:国交省)。調査ボーリングおよび応急対策工事が進められる。本現場では、帰省中の家族を含む一家11人が土砂崩れに巻き込まれ、9人が犠牲となった。

⑱ 珠洲市仁江町 国道249号の寸断

(写真上)国道249号が複数箇所の大規模ながけ崩れ、地すべりにより珠洲市仁江町〜真浦町間の約1.5km区間、通行止となっている。(写真中)崩壊した土砂は、海岸にまで達している。海岸隆起部を活用した応急復旧道路の建設が進められている。(写真下)写真奥に坑口が大規模崩落により土砂に埋まり通行不能となっている逢坂トンネルがある。

⑲ 珠洲市真浦町 国道249号の寸断(逢坂トンネル輪島側坑口)

国道249号通行止区間のうち逢坂トンネル輪島側の坑口。崩壊土砂により、トンネル坑口は見えない。(この写真のみ2024年4月26日撮影)

【写真位置図】

4.「令和6年能登半島地震から100日」 [2024.04.11公開]

3.「令和6年能登半島地震から70日」 [2024.03.14公開]

2.「令和6年能登半島地震から30日」 [2024.02.08公開]

1.「令和6年能登半島地震から10日」 [2024.01.11公開]

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